こと – 関口正夫(Masao Sekiguchi)

管理人の日常

出版社:関口正夫写真事務所(私家版)
刊行年:2003年
サイズ:21.7×23cm
ページ:80p

publisher:self-publishing
publication Date:2003
size:21.7×23cm
pages:80p

写真家の関口正夫氏は、桑沢デザイン研究所写真研究科で、日本を代表する写真教育者であった大辻清司に学び、今となっては伝説的な写真家と化した牛腸茂雄氏の同級生。ともに1968年桑沢デザイン研究所写真研究科を卒業している。

1971年には、大辻が序文テキストを担当した写真集「日々」を牛腸と共同出版している。
関口氏、牛腸氏ともに写真のスタイルは似ているように感じる。

写真は人の性格が出る。
写真を見ればその人の正確が分かるとよく言われるが、二人の写真を見るとなぜ二人が親交を持っていたのかが分かる気がする。写真を撮る際の息遣いや、どこか申し訳無さそうに撮影する繊細な2人が想像できる。

そんな写真集「日々」から30年近くを経て出版されたのが「こと」。
「こと」に納められている写真を見るがスタイル自体は変わっていないことが分かる。

個性とは、変えようと思っても結局変えることのできない部分のことだと思う。もしかすると関口氏本人もあの「日々」から何を撮るべきなのか悩み続けていたのではないだろうか。
牛腸茂雄がもし今も生きていたなら、彼はこの世界になにを見たのか。

最後に写るゴリラの写真。
実は共写真集「日々」の中にもまた牛腸茂雄氏が撮影したゴリラが映っている。
なぜ最後のページにわざわざゴリラの写真を持ってくる必要があったのだろうか。
写真を通して何を提示すればよいのかは写真家にとって永遠のテーマでもある。

関口氏は写真という名の暗号で、まだひっそりと誰にも悟られないよう牛腸茂雄という写真家と文通をしているのかもしれない。

いずれにせよ素晴らしい写真家と素晴らしい写真集であることには間違いない。

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